フリーのイラストレーターが効率よく仕事をもらうための基本の準備
イラストの仕事をしてみたいけど、まずはなにから始めよう?
いざ行動を起こそうにも、最初はどこから手を付けたらよいのか戸惑いますよね。
フリーランスで活躍するイラストレーターの方向けに、効率よく仕事をもらうための準備について、
- 依頼者に声をかけてもらう
- 自分から売り込む
この2つの側面から、具体的な対策を解説します。
クライアントからオファーをもらいやすくするには?
まずは「依頼者に声をかけてもらう」ことを前提に、依頼者(クライアント)に自分自身を知ってもらうための準備からお話します。
イラストSNSのアカウントを作成する
イラストを趣味とされている方ならば、pixivなどのイラスト投稿型SNSは既に利用したことがあるかと思います。
イラストSNSはフリーで活躍するクリエイターにとって、自身の作品を多くの人に知ってもらえる心強い営業ツールです。
利用するSNSで仕事の募集が禁止されていないかを確認し、利用規約やガイドラインを遵守した上で大いに活用しましょう。
数あるイラストSNSのなかでもダントツの閲覧数を誇るpixivは、いの一番に登録することをおすすめします。
日々秒単位で作品が投稿されており、ランクインを目指すには競争率が相応に高くなりますが、投稿数と比例して多くのクライアントが作家をチェックしています。
投稿するイラストの方向性
クライアントは作家をオファーするにあたり、作品のクオリティはさることながら塗り方やテイストが求めるイラストの条件とマッチしているかどうかを見ています。
たとえばブラシ塗りと厚塗り、どちらの技法も得意なのであれば、それぞれ塗りの異なるイラストを掲載することで声をかけられる確率はぐっと高くなります。
同じように、年齢性別の異なるキャラクター、デフォルメキャラ、モンスター、メカなどのように描ける分野が多ければ、さまざまなクライアントの目に留まりやすくなります。
また、どのような方向性の作品でも背景付きのイラストはとても目を引きます。
もちろんイラストSNSの利用は依頼を受けることだけが目的ではありませんが、効率よく仕事を受注する上で、クライアントの目線に立つことは重要です。
大きくジャンルの異なるイラストを掲載する場合
全年齢向けイラストとR-18イラストとでは大きく性質が異なります。
同じアカウントの作品ページに両方のイラストを載せる場合、R-18関連作品のオファーは見込めますが、全年齢向け作品のオファーは減ってしまうかもしれません。
イラストSNSによって、ジャンルや名義による使い分け(複数アカウント)が認められている場合がありますので、必要によってアカウントを分けて管理することも考えてみましょう。
プロフィールでPRしよう
ユーザー名(pixivではニックネーム)の欄には、自身のペンネームの後に「@お仕事募集中」などと加えるとひと目で状況が伝わります。
3月までは忙しいけど4月からは仕事できそうだな、という場合は「@4月~お仕事募集中」と記載すれば交渉がスムーズに進むでしょう。
また、ユーザー名検索から「仕事募集」を抽出した場合の検索結果表示画面を考慮し、ポートフォリオとして自信のある作品を閲覧できるようにするとより効果が期待できます。
自己紹介欄には仕事用のメールアドレスなど連絡先を忘れずに記載し、仕事として請けてみたいジャンルや得意な絵柄、NG分野などを具体的にPRしましょう。
↓は依頼者からのオファーを意識して作成したプロフィールの一例です、ご参考になさってみてください。
- ニックネーム
- ツジヒール@4月~お仕事募集中 筆名の後ろに現況を書くと交渉がスムーズです。
- HPアドレス
- http://tsujiheal.com ホームページをポートフォリオとして活用しましょう。
- パーソナルタグ
- 女の子 甲冑 得意なジャンルを記載するとアピールになります。
- 性別
- 男性 任意で記載してください。
- 住所
- 日本 埼玉県 打ち合わせを想定して記載しておくと親切です。
- 年齢
- 39歳 仕事が可能な年齢だと伝えられます。
- 誕生日
- 8月15日 任意で記載してください。
- 職業
- 求職中 任意で記載してください。
- Twitter等
- 任意で記載してください。
- 自己紹介
-
イラストのお仕事募集中です。
2016年4月以降、スケジュールが空いています。
得意なジャンルは女の子イラストと戦国時代の衣装です。
現在、連載の漫画のご依頼は受け付けておりません。
お仕事では商用パンフレットの挿絵とソーシャルゲームのカードイラストの経験があります。
線画のみ、彩色のみも承ります。
お仕事のご依頼は下記アドレスへお気軽にご連絡ください。
info@tsujiheal.com
得意としているジャンルやNG分野を記載しておくと交渉がスムーズに進みます。
イラスト系のイベントや交流会に参加してみよう
コミックマーケットなどの同人誌即売会に出展したり、イラスト系のイベントや交流会に参加することで、ネット以外の露出を増やすことができます。
オファー目的で参加している依頼者も数多くいますので、お互いの連絡先をスムーズに交換できるように名刺を用意しておくと便利です。
限られた時間の中でたくさんの人々と交流するイベント会場では、誰がどんなイラストを描いていたのかわからなくなってしまうケースがあります。
名刺も作品のひとつです。自身のオリジナルイラストを載せたり、受託可能な仕事内容もアピールできます。デザインにもひと工夫入れて個性を伝えるのも効果的です。
また、連絡先には携帯番号やメールアドレスだけではなく、利用しているイラストSNSのIDも記載しておくと親切です。
イラストコンテストに応募してみよう
イラストコンテストの参加は、受賞できた場合の実績や知名度の向上だけでなく、実力アップにも繋がるよい機会です。
コンテストにはテーマや条件が提示されていることもあり、同じ条件の下で他のクリエイターはどのように表現してどんな評価を受けているのか、自分の作品と比べてどのような違いがあるのか、客観視しながら分析することで今後の制作活動における改善ポイントもはっきりします。
また、テーマや条件が設けられたコンテストは商業イラストの実務と似通う部分が数多くあります。構図や衣装を機能面も考えつつどれだけ魅力的にデザインするか、場面に合わせた機微な表情をいかに表せるか、いつもとは違った視点で制作することでステップアップに繋がります。
自分から売り込むには
活動の幅を広げるためには自ら売り込むことも必要です。
では具体的に、どのようにアピールするのがよいのでしょうか。
直接企業に問い合わせをしてみよう
イラストの仕事を取り扱うイラスト制作会社、デザイン事務所、出版社などに直接売り込みをすると、すぐに仕事に繋がる可能性があります。
こうした企業の多くはコーポレートサイトでイラストレーター募集の案内を出しています。案内に従ってコンタクトフォームなどから直接連絡してみましょう。
企業によってさまざまな特色、特化した分野があります。
もちろん、オールジャンル取り扱う企業もあります。
コーポレートサイトから、自身の条件と企業の求める人物像がマッチしているかどうか判断してみてください。
たとえば私たちツジヒールでは女の子イラストの仕事に強みを持っています。(さりげなく宣伝タイム)しかし、厚塗りのリアルなモンスターの制作はあまり得意ではありませんので、このジャンルにて案内できるお仕事は少なくなってしまいます。
企業の持っている特徴も考慮しつつ、1社だけではなく複数社にアタックすることをおすすめします。ただし、Web上では募集を行っていない企業もあります。必ず確認をした上で連絡を取りましょう。
イラストポートフォリオを作成しよう
自ら売り込みをする際に欠かせないのがポートフォリオ(作品集)です。
イラストポートフォリオはプレゼンテーションソフトなどを利用して作品を魅力的に編集し、PDFで出力したデータを企業にメールなどで提出するのが一般的です。
プレゼンテーションソフトはMicrosoftのPowerPointが代表的ですが、お持ちでない方はMicrosoft Officeと互換性の高いフリーソフトApache OpenOfficeがおすすめです。
他にもさまざまなタイプのプレゼンテーションソフトがリリースされていますので、操作しやすいソフトを見つけてみてください。
ポートフォリオは単にイラストを編集するだけでなく、目を引く営業ツールとして他のクリエイターと差別化を図るため、イラストの情報もわかりやすく説明し、デザイン性やフォントも考慮しながらトータルデザインで作成することをおすすめします。
「イラストポートフォリオ 作り方」や「プレゼン資料」などで検索すると、参考になる記事がたくさん見つかります。いろいろなサイトを参考にしながら、作品の魅力を最大限にアピールできるポートフォリオを作成してみてください。
ビジネスマナーも大切です
クライアントとの交渉は、電話やメールに加え、場合によっては対面の打ち合わせもあるかもしれません。基本的なことですが、話し方や身だしなみには気を遣い、ビジネスパーソンとしてクライアントと接することが大切です。
メールでのやり取りでは早めのレスポンスを心掛けつつ、わからないことや疑問点はその都度確認するようにしましょう。
イラストの仕事はWeb上のコミュニケーションのみで完結することが多いため、思いもよらぬ認識の齟齬が発生してしまう場合があります。どのように表現すれば相手に適切に伝わるのか、コミュニケーションスキルも磨きつつ、依頼者との信頼関係を築き上げてください。
クラウドソーシングの活用
新しい働き方として注目されるクラウドソーシング。その特徴を理解した上で活用してみるのもよいかもしれません。どのような仕事に対しても言えることですが、それぞれのサービス、仕事の形式にはメリットとデメリットが存在します。
サービスの内容や決め事をよく理解し、働き方の選択肢を広げてみてください。
まとめ
フリーランスのイラストレーターが効率的にイラストの仕事を獲得するための基本の準備をまとめましたが、いかがでしたでしょうか。
一度仕事を引き受け、良いパフォーマンスをあげることができれば、クライアントとの信頼関係が生まれ、次から次へと仕事が繋がっていくものです。
これからイラストの仕事を始めたいと考えている方の参考になれば嬉しく思います。