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導入部でキメる!ソーシャルゲームのシナリオまんねり解消法

ソーシャルゲームのシナリオ

小説、映画、マンガ、そしてゲーム。あらゆるコンテンツの物語において、導入部のストーリー展開は非常に重要な要素です。

映画の場合、「導入部~タイトルロゴ(オープニングクレジット)~本編」という構成が多く用いられますが、この導入部でいかに観客を惹きつけるかが勝負の分かれ目になると言われています。時間にしてわずか5分ほどの間に、観客を映画の世界にどっぷりと引き込まなければなりません。

マンガも同じく、読み始めて最初の数話が面白くなければその続きを読もうとは思いません。導入部に失敗したマンガは、連載モノであれば数話で打ち切りとなります。
どのようなコンテンツでも導入部は重要なファクターといえます。

しかし、ソーシャルゲームではどうでしょうか。
ゲームを初めて最初の展開で、「またこのパターンか、既視感すさまじいなぁ…」と感じたことはないでしょうか。

今回はソーシャルゲーム導入部分のパターンを幾つかご紹介しながら、オリジナリティを出せる導入部のシナリオについてまとめてみました。

よくあるソーシャルゲームの導入部の展開

まずは、よくあるソーシャルゲームの導入部の展開について見ていきましょう。

2つに大別できる主人公の立ち位置

最近のソーシャルゲームでは、主人公をひとりのキャラクターとして細かな設定を付与していることが多くなっています。主人公の立ち位置は大きく二つのカテゴリに分けることできます。

  • 主人公=ユーザーとするタイプ
    (代表的なコンシュマーゲームではドラゴンクエストシリーズ)
  • 主人公とユーザーがイコールにならず、主人公は劇中の第三者として登場するタイプ
    (代表的なコンシュマーゲームではファイナルファンタジーシリーズ)

ソーシャルゲームのシナリオでは、前者の主人公=ユーザーとするタイプが大多数を占めます。
今回はこのタイプを掘り下げていきます。

定型パターンに陥りやすいチュートリアル

ソーシャルゲームの特徴として、ゲーム開始直後のチュートリアルでは、ゲームの世界観やプレイ方法をユーザーに短い時間でレクチャーしなくてはなりません。

この短い時間というのがポイントです。

コンシューマーゲームのように、ゲームを購入してもらってから「さぁゲームをはじめるぞ!」といった前向きなユーザー心理とは異なり、ソーシャルゲームのチュートリアル中はまだまだ「ゲームをプレイしてみようかな?」というユーザーの判断ステージの真っ最中です。
チュートリアル突破率という呼称でゲームプロデューサーが気にしているアレです。

限られた時間でわかりやすく、ゲームの魅力や世界観、プレイ方法を伝えることを意識してシナリオを書いてみると、どうしても導入部が定型パターンに陥りがちです。

では、実際によく目にする「主人公が記憶喪失」設定を書いてみます。

安定の「主人公が記憶喪失」設定

まず、ナビキャラクターが登場して主人公にあれやこれやと現在の状況を教えてくれます。

ナビキャラ:「おい…◯◯(主人公の名前)…おい!おいってば!!」

ナビキャラ:「大丈夫かよ?急に倒れたからビックリしたよ…」

ナビキャラ:「まあ大丈夫ならいいんだけど……って…お前、何でボーっとしてんの?」

というような記憶喪失(もしくは寝起きが凄まじく悪くてボーッとしてるパターン)の前振りが入り…

ナビキャラ:「えーー!なんだよ、記憶がなくなったって!?(おい!いい加減に起きろよ!)」

なんて感じの、ユーザーと同じく主人公もこのゲーム世界についての情報がまっさらですよーという説明が入り…

ナビキャラ:「じゃあもう一度説明するからな!」

とチュートリアルに入っていく…

主人公とユーザーをイコールの状況に置くために多くの説明を必要としないので、作る側からすると「プレイヤーに短時間でゲーム内容をレクチャーする」という側面はクリアしています。
ですがユーザー目線で考えると、グッと引き込まれるシナリオ展開とは言いがたい部分があります。

記憶喪失の主人公

まず第一に、お約束パターンになりすぎていることです。

かなり頻繁に登場するパターンであるからか、「ああ、またこれか…」とユーザーにうんざりされてしまう懸念点。
この「最初に記憶喪失だった」設定が、後々のシナリオ展開で伏線回収されるのであれば魅力的な設定・展開となりうるのでしょうが、多くのソーシャルゲームでは都合よく記憶喪失設定を使うだけになってしまっています。

さらに言えば、後々伏線が回収されるまでユーザーが待ってくれる(プレイし続けてくれる)可能性は、残念ながらそこまで高くはありません。
導入での失敗=アンインストールと考えるべきです。

では具体的にどうしたらいいのか?
筆者は次の2つのことに気をつけて導入部分のシナリオ展開を考えています。

  • 世界観やキャラクター設定を説明じみた文章で伝えない
  • 導入部分はインパクトある展開を意識する

世界観やキャラクター設定を説明じみた文章で伝えない

ひとつめは、ひたすら説明テキストだけでシナリオが進むようにしない、ということです。

「◯◯年……世界では三度目の大戦が続いていた。だが、争いによって疲弊していく世界にひとつの希望が生まれた。国の垣根を超えた傭兵部隊が誕生したのだ…」

これくらいの文章量でさっと世界観や目的を説明するのであればユーザーにストレスを与えません。

ですが、戦記物などの場合。
このあとも延々と「どこ国がどこ共和国へ進軍…戦果はどうのこうの…」と説明文章が続く場合があります。説明したいことが多いのであれば、説明文章だけで完結させるのではなく、なるべく他の手法で説明することを心がけると物語をストレスなく伝えることができます。

記憶喪失の主人公

登場するキャラクターに会話として経緯を説明させるとか、主人公に情景をフラッシュバックさせるなどして、ユーザーが飽きないように場面を変えてシナリオを補完する方法を考えます。

導入部分はインパクトある展開を意識する

最初に表示されるテキストにインパクトを持たせる、という点を強く意識します。

ユーザーがゲームをインストールし、タイトル画面をタップしてゲームがスタートした直後、最初にユーザーの目に飛び込んでくる言葉をインパクトあるものにするのです。

導入部を単調な説明文章のみで構成してしまうとインパクトとしては弱くなってしまいます。
奇をてらいすぎていると思われそうでも、なるべく他のタイトルと差別化が図れ、ユーザーが思わず「えっ?」と引き込まれるようなユニークな文言を取り入れてみると、物語の特異性をグッと引き立たせることに役立ちます。

多様し過ぎるとユーザーが置いてきぼりになり引いてしまうので、インパクトのある言葉はひとつやふたつに留めるのがポイントです。

まとめ

物語の導入部分の構成にはさまざまなパターンが存在します。
しかし、限られた時間ですべてをプレゼンテーションしなければならないソーシャルゲームのチュートリアルでは、説明を簡略化するあまりお約束のパターンに陥りがちです。

いままで述べたようなちょっとした工夫、説明部分の場面を変えたり、出だしにインパクトを持たせることで、導入部のまんねりを打破し、ゲームのオリジナリティを打ち出すことができればミッションコンプリートです。
ソーシャルゲームの導入部、シナリオ構成にお悩みの方の一助となれば幸いです。

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