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イラスト制作のトラブルにご用心!
悪質クライアント9つの手口と特徴

悪質クライアント

本業・副業を問わず、イラスト制作の在宅ワークはここ数年で急増しています。Web上のやり取りのみで取引するため、煩わしさが減る反面、相手が見えない恐ろしさが潜んでいるのも事実です。

私どもの会社も悪質依頼主に騙されてしまった経験があります。
依頼者とトラブルになれば、費用と時間をかけて専門家に相談し法的手段をとらなければなりません。面倒ごとに巻き込まれないためにもトラブルを未然に防ぐことが大切です。

今回は、イラスト制作における悪質クライアントの手口や特徴、トラブルを未然に防ぐための対策に焦点を当てます。トラブル防止!イラスト制作の原稿料支払についての基礎知識と注意点とともに、ぜひご一読ください。

悪質クライアントの手口

ウマい話と条件が曖昧な案件には注意が必要です。悪徳依頼者が後出しの不当な条件を飲ませようとしてくるかもしれません。悪質クライアントの常套手口5つをチェックして、怪しい依頼者を遠ざけましょう。

1. 存在しない「釣り案件」を提示する

弊社がある制作会社から、某有名コンテンツのシナリオ制作の相談を受けたときの話です。

突然降って湧いた大型案件の相場からかけ離れた予算に舞い上がり、即座に打ち合わせを依頼しました。詳しく聞くと、某有名コンテンツのシナリオ制作案件はまだ仕様が固まっていないため、その間に別のイラスト制作のトライアルをお願いできないか、とのこと。

いま考えれば、架空の大型案件という餌をチラつかせ、本来の目的である依頼を不当な条件で引き受けさせる、悪質な依頼主の王道の手口です。

釣り案件に要注意

予想通りの展開ですが、大型案件はおざなりにされ、イラスト制作のトライアルのみの契約になりました。
案件内容は惨憺たるもので、契約にない後出し条件のごり押しと理不尽なリテイクの嵐
何度も指示通り修正版を提出するも、終いには検収不可を叩きつけられ、支払いも当然のように拒否する始末。リーガルリテラシーの欠片もない企業でした。

もちろんこちらは納得できません。契約通りにかかった費用を再三請求しましたが、その後はお約束の音信不通。何ヶ月か経った後、私たちは依頼者の破産のニュースを耳にしたのでした。

2. 仕様にない後出し条件を一方的に押し付ける

契約内容や取り決めした仕様に含まれない後出しの条件を一方的に押し付けてくる依頼者は要注意です。

後出し条件の一方的な押し付け

受注成立後に大きな仕様変更が発生した場合は、追加の制作物や修正にかかる制作費とリスケジュールが必要です。しかし悪い依頼者は、「○○を追加できなければすべての支払いができません」などと道理の通らない要求を飲ませようとしてきます。

こういった場合は、予め仕様や諸条件を明確に文章として残した上で、追加の制作費やリスケジュールを堂々と請求してください。するべき主張をしないと「この人は無理を言ってもタダでやってくれる」と思われてしまいます。

ただし相手が善良な依頼者だった場合、小さな説明漏れやさほど制作に支障をきたさない軽微な修正まで「当初の仕様にない!」と一蹴してしまうと、次の仕事に繋がらず将来の優良案件まで潰してしまう可能性もなきにしもあらずです。

このあたりは判断が難しいところではありますが、何件か仕事をこなしていくうちに身についていくバランスですので、相手方との円滑なコミュニケーションを第一に考えつつ、臨機応変に対応することをおすすめします。

3. 不当な買いたたきをする

こちらになんら落ち度がないのにも関わらず、ペナルティとして原稿料を減額したり、または支払わないなどとする依頼者はアウトです。

なかには、「おおもとのクライアントからペナルティを受けたから」と、あたかも正当であるかのように一方的に減額してくるケースもあります。指定通りの仕様で期日までに納品をしているならば、おおもとのクライアント云々は全く理由として通りません。

悪徳依頼者は優しくておとなしい人に狙いを定め、付け込んでくる性質を持っています。
おかしな点、理不尽な点はしっかりと主張してトラブルを回避しましょう。

しかし、受託者の過失によって納期遅れなどが発生した場合、かつ事前に減額することを承知している場合はこの限りではありません。契約や受注内容にペナルティが記載されていないかを十分確認した上でお仕事を請けることが肝要です。

4. 「うっかり」支払遅延をする

うっかりではすまされませんが、よくあるのが窓口になっている人間と経理部門との連携がうまくいっておらず、支払遅延が発生するケースです。
遅延だけならまだしも、悪質依頼者がうっかりミスを装って、このまま連絡がこなければとんずらしてしまおう、などと画策しているかもしれません。

うっかり支払遅延をする

しっかりとキャッシュフローの精査を行って、支払サイトを把握し、遅延が発生していないかチェックをしましょう。もし遅延していたら「入金がまだのようですが、どのような状況ですか?」と連絡を入れましょう。

5. トライアルを強制する

近頃、「トライアル」をうたった依頼が増えてきているようです。
相場より低い金額を提示されるだけでなく、なかには無償での依頼もあるようです。

次の優良な仕事に繋がればよいのですが、トライアルだけで買いたたかれて終了のケースもよくあります。トライアルでの金額・条件は本当に納得できるものなのかを考慮して決定してください。

悪質クライアントの特徴

依頼者に悪意がない場合でも、いい加減で無責任な人が相手ですとこちらが確実に疲弊してしまいます。テキトーな依頼者の特徴を早々に見極めて、危ない橋は渡らないように取引を再検討するのがベターです。

6. 確認作業を怠る

仕様の確認をしてもその場しのぎな発言ばかりで、後日「やっぱり○○にしてください」と平気で口にするようなクライアントは危険です。1の修正が10になって返ってくる恐れありです。

するべき確認作業を怠り、イラストレーターに迷惑をかけることをなんとも思っていないような依頼者には注意が必要です。

7. レスポンスが遅い

2営業日以上も返信をしない依頼者もトラブルの匂いがプンプンします。
あらかじめ返事が遅れることを伝えている場合は別ですが、レスポンスの遅れにより本来正常であったスケジュールに支障をきたすことも考えられます。

あまりに先方のレスポンスが遅い場合は、その旨を伝えた上でスケジュールの再調整を依頼しましょう。また、フィードバックにどれくらいの時間を要するのかを先に確認しておくと無駄にやきもきしません。

8. 都合の悪いことは電話で済ませる

悪質な依頼者は不利な証拠を残さないため、都合の悪いことを電話で済ませる傾向が強いです。
言った言わないになりそうな曖昧な話や重要な条件などの変更は、メールなど証拠に残るやり取りで確認するようにしましょう。

証拠に残るやり取りで確認しましょう

そもそもイラスト制作の場合、口頭での意思疎通事態が適していません。
余程緊急事項の連絡でもない限り、文章やイラストで可視化されたコミュニケーションが望ましいでしょう。

9. 口調がおかしい

初回の取引にも関わらず、相手がやたらとフランクな口調なのも考えものです。

距離感が掴めない人なのかな?と気軽に考えてはいけません。依頼者が法人の場合、ろくに社内研修もないようなテキトーな会社であることが考えられます。
はたまた会社全体の感覚がズレているのもしれません。テキトーな会社やズレた人にはこちらの常識が通じません

被害に遭わないためのチェックポイント

ここまで悪徳依頼者の手口やその特徴をお伝えしてきましたが、一番大切なのは被害に遭わないためにはどうすべきか、ということです。
以下のチェックポイントを参考にトラブルを未然に防いでください。

  • 釣り案件に騙されない!ウマい話はないものとして考える
  • トライアルという言葉にご用心!
  • 危険な依頼者の特徴を察知してトラブルを回避する
  • 正式受注する前に仕様や条件を明確にする
  • 正式受注する前にペナルティの有無を確認する
  • 制作を開始してから発生した大きな仕様変更は、原稿料とスケジュールを再調整してもらう
  • 証拠に残るやり取りを心掛ける
  • 理不尽な問題はハッキリと意思表示する
  • 支払サイトを確認し遅延がないかチェックする

最後にもう一点。厚生労働省が在宅ワーカーのためのハンドブックを発行しています。
在宅ワークにまつわる基礎知識や、万が一トラブルに巻き込まれてしまった場合の対処法と相談窓口も掲載されています。

知っているつもりでも誤解していたり、理解できていなかったりはよくあることです。正しい知識と対処法でイラストのお仕事を楽しんでください。

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